2021.1.25
Dr.深堀のラジオde診察室 2021年1月23日 イヤと怖いの違いには明確な境目がある。
心の病の方はこの2つの感情を混合して苦しんでいる方が多い。多くのうつ病・不登校の引きこもり・不安障害(パニック障害・摂食障害等)・対人緊張が極端に強い社会不安障害・発達障害の方々。これらの方々は、客観的にみたら怖がる状態ではないのに極端に一人で怖がっている状態。
イヤは客観的に見て安全な状況で感じる感情
怖いは客観的に見て危険な状況もしくは危険的状況になることは予想される時に感じる感情
嫌な気持ちがどうして怖いにつながるのか
思考と行動・主観と客観の違い。
主観と客観
①居心地のよくない環境や状況に居るけど別に命の危険な状況にない。
②目の前に野生のクマが現れて襲い掛かってきそうな状況は本当に命の危険な状況にある。
①は客観的に見て安全で主観的には不快なだけで行動を伴わない(思考のみ)感情=イヤ
②は客観的・主観的ともに危険、行動に移さなければ危険な時に湧き上がる感情=怖い
上記の人たちはその違いが判らない。
そういう方が陥りそうな思考とは
例:赤面したら死ぬしかないから非常に怖い。
と考える思考には、客観的にみたら無茶苦茶な連想が起こっている。
「赤面したら笑われる。→笑われたら嫌われる→嫌われたら自分はその会社にはいられない→会社に居られないから給料がもらえない→給料がもらえないから生活が出来ない→生活が出来ないから死ぬしかない。」
というように客観視が出来なくなり、主観が暴走し、いつまでもストップがかけられない。
これらは、認知行動療法などで客観的に物事を見ることが出来るように認知のゆがみが正すれば治る。
思い(思考)と行動を一致させる。
会社(仕事)を例にとると「会社→嫌だな。(本来の思い)」→「会社→“嫌じゃない”ように仕事を頑張る。(行動)」主観的な思い(気持ちは嫌なまま)と実際の行動が異なる。異なることでストレスがたまり、会社に行くのが怖くもなるし辛くもなる。嫌な気持ちは嫌なままどうしようもないので、「仕事は嫌だけど働いている」→「嫌だけど“働こうと思う”から働いている」のように自分の心の流れを自覚(実際人間は働こうと思わない限りは決して働くことはない)しながら行動すれば、自分の意思(働こうと思う)で仕事を行ってるので気持ちが楽になる。
アドラー曰く
「人間が持つ悩みを改善するには原因を探る(原因論)より目的に目を向けた方(目的論)が断然良い」
原因論「過去の原因を改善することで、結果=現在の状況も改善される」
未来の○○が出来ないのは、過去にXXしたせい。だから、○○しないと言う考え。なぜの理由が過去にある。
目的論「先の目的のために、具体的に考えて具体的な行動をおこす。」未来に向け考える行動は過去の出来事には関係ない。○○したくないから、△△しない。なぜの理由が未来にありその目的のために「しない・する」という行動をする。
過去に焦点を当てるのではなく未来に目を向け、「自分では変えることが出来ない他者」より、「変える事の出来る自分」に焦点を当てる。変えられない過去より変えれる未来。へ
例:外に出ると不安になるから出れない。
原因論:過去に何らかのトラウマがありその原因を探って不安が起きないように解消しようとする。
目的論:原因はあったかもしれないが、「そもそも外に出たくないから不安という感情を自分が作り出しているかもしれない。」外に出たくないのが目的→だから外に出たくない。
出ないという結果は変わらないが、ストレスが減り、不安や恐怖はなくなる。(如何なる経験もそれ自体は成功の遠因でも失敗それきっかけで外出する気持ちが起きるかもしれない)
目的さえわかれば、対処できる方法を探ることが出来る。過去を変えるの事はできないが自分を変えられるので変える事で未来を変えられる。
例えば、風邪を引いて発熱して病院に罹りなおしてもらいに来ました。医者曰く「夕べ薄着で寝たのが原因ですね。」と言われ“今後は暖かくして寝ないといけないな”っと思う。これでは今現在の症状は治まりません。(原因を知っても治るわけではない)
治すため(目的)にいろんな方法の治療を試してもらう、薬をもらったり栄養付けたり。
目的設定方法でアプローチや行動が変わる。「どうして」でなく「どうやって」を意識する。
今週の格言
「如何なる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗の原因でもない」byアドラー